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明かりの進化の中での表示灯(DB,BN)の位置

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明かりの進化の中での表示灯(DB,BN)の位置

明かりは、時の流れのなかで少しづつ進化してきました

  明かりと言えば、太陽光と月の明かりしかなかった大昔、あたりまえのように人々は太陽が昇るとともに起きて活動し、日没とともに寝るといった生活をしていました。 満月の夜は、月明りに頼りいつもより多少長めに活動していたのかも知れませんが、夜はどんな危険なことがあるかも知れず、実に不便な生活を強いられていたのは事実でしょう。

  と、これをデメリットと思うのは、現代に生きる我々が考えることで、彼ら(彼女ら)は自然とともに生きている生物の一つとして、現代人よりもよほど健康的な生活を送っていたかもしれませんし、そのころの人たちはそれが日常であり、当たり前なので特に疑問は持たなかったのかも知れません。
とはいえ、中には「夜に明かりがあったらどんなに便利だろうか」と考える人もいたからこそ少しづづ発達してきたのではないでしょうか。

 過去から順にかいつまんで見ていきましょう

まずは松明(たいまつ)

たいまつ

松 明

 

  これは、ポータブルな明かりと言っても良いかも知れませんね。 夜道で、足元を照らしたり、獲物を追いかけて行ったり、獣を追い払ったり、どこかに着火する火種として使ったりと、用途はいろいろですが、あくまでも「移動できる明かり」が基本となっています。

焚火(たきび)

たきび

焚 火

 

  これは固定されている明かりであり、単純に明かりにとどまらず、暖を取ったり煮炊きにも使えますし、住居内で火を使えば、その煙により害虫などが繁殖するのを防ぐ効果もあり一石何鳥にもなりました。 また、副産物として、燃えた後にできる灰が肥料や洗剤にもなり、かなり重宝されたことが想像できます。

蝋燭(ろうそく)、提灯(ちょうちん)

ろうそくちょうちん

蝋燭、提灯

 

  ろうそくは、今でも寺院などの宗教としての施設や、家庭の仏壇、花火を楽しむ際の火種、Happyな Birthday Cake上の光の演出、非常用の明かりとして備蓄されるなど、多くの用途がありますが、これを携帯用照明としたのがちょうちんです。 今ではテレビでほとんど「時代劇」を見かけなくなりましたが、よく放送されていたころは、ろうそくを日本刀で切ったり、大店の番頭さんが夜に出かける際にちょうちんを携行しているシーンが見られました。 また、破れたちょうちんお化けなんてのもありましたね。

行燈(あんどん)

あんどん

行 燈

 

  これまでは燃料としては、木であったり蝋であったりですが、ここから変わります。 主に屋内で使用する行燈(あんどん)があります。 菜種油などの植物油や鯨油、魚の油を燃料とした明かりです。(燃料が動植物由来の液体油
  屋内で使うのに --- 行燈?(行灯)? 何で「行」という文字が使われているのかというと、もともと行灯は夜に外出するときに使うものだったからです。  油の入った皿に芯を浸して燃やしていたわけですから、歩いているうちに油がこぼれて一気に燃えてしまったといった事故が多くあったようです。 これに関してもたくさんのお化けの話、ありますね。

石油ランプ

石油ランプ

石油ランプ

 

  これは、燃料が液体なのは同じなのですが、植物性の油から鉱物油となり、石油ランプの登場です。 ここまで来ると、携行しても据え置いても使える安定した明かりとなりました。 これは、グーニーズやインディ・ジョーンズなどにも登場していた?(定かではありません)かも知れませんが、この時代にはいわゆる探検などにもよく使われたことでしょう。 提灯や行燈と比べると、格段に安全性が高いものだったと思われます。 

ガス燈(灯)

ガス灯

ガス灯

 

  そして、気体燃料が登場します。 ガス灯です。 銀座のガス灯が有名ですが、少しイラストがあやしいです。 ちょっと違うような気も、、、 ( ´•ᴗ•ก; )

白熱電球の登場

白熱電球

エジソン先生の白熱電球

 

  けっこう端折ったわりには、なかなか我らの電気が出てきませんが、ようやく、「電球」として登場します。 かの有名なトーマスエジソンが19世紀に生み出しました。 これ以前と大きく違うのは、燃焼(火)から電気に変わったことです。 これにより火事になる可能性が格段に低いものとなりました。 とはいうものの、触ると火傷しそうなくらい高温になり、電力消費も大きなものです。
  高温になる(内部の中心部は2,000℃以上、白熱電球と呼ばれている --- いかにも熱そう)ため、熱に強い物質が必要とされいろんな素材を試した結果、40時間以上も光る電球を完成させました。 しかし、これでもまだ短いため、さらに長い時間光ることを目指して研究し、当時画期的な1,000時間もの長寿命を実現させたのが、なんと、京都産の竹をフィラメントに使ったものだったというのは有名な話です。
  現在のフィラメントは、タングステン(W)を使用しており、2,000時間程度の寿命を得ていますが、それでもより長寿命かつ、低消費電力のものが求められます。

B-5510

B-5510と白熱電球

 

   弊社のブラケット、Bで始まる型番の表示灯は、この白熱電球用でしたが、現在は廃番となっております。 ここ数年で、大手電球メーカーさんでは白熱電球の全てあるいはそのほとんどの生産を終わらせています。

   ここで、ひとつ、あまり知られていないかな? と思われる、白熱電球の性質について書いてみたいと思います。  たとえば、100V、100Wの電球があったとします。 これは、100Vで点灯したときに、100Wの電力を消費しますよという表示ですが、一般には「100W」を便宜的に「明るさ」と同様に扱っていたかも知れません。  100V、100Wということは、その抵抗値は100Ωで、1Aの電流が流れることになります(オームの法則から)。

  で、意外と知られていないというのはここからで、実際は1Aの電流は一定ではないということなんです。  先に書いていますが、内部の中心部(タングステンのフィラメント部)は2,000℃くらいになりますが、金属の性質として、温度が高くなれば抵抗値も増加します。 抵抗値が100Ωというのは、その2,000℃のときのことであって、室温に近い状態にある点灯前においては、抵抗値はその何分の一かしかないのです。

  では、点灯の瞬間、抵抗値が低いとすればいったい何アンペアの電流が流れるのかですが、なんと、約18倍もの電流が流れることがあります。つまり、抵抗値は約18分の一ということで、100/18=約5.5Ωが消灯時の抵抗値となります。 時間軸で見ていけば、スイッチ-ONで点灯した瞬間、約18Aの電流が流れ、その時の抵抗値は約5.5Ωで、時間の経過とともに温度が上がり、徐々に抵抗値は100Ωに向かって増加して行きます。 それに伴い、電流値は18Aから、定格電流の1Aに向かって収束していきます。 そして、熱々の、100V、100W、100Ω、1Aという状態が出来上がるのです。 ただ、この変化は、初めから終わりまでに、1秒もかかりませんので、実感としては、スイッチ-ONしてすぐに100%の明るさではなく、「ボワッ」という感じがあるだけです。 ここはLEDとは大きく異なるところです。

  なお、電球が切れるタイミングは、18倍の電流が流れる、【点灯の瞬間】が非常に多くなっています。 やっぱり無理がかかるということですね。
  また、このような大きな電流が流れる電球ですが、PSE(電気用品安全法)において、スイッチ等の性能試験用負荷として記載があります。 実用上この18倍の電流の【入-切】に耐える必要があるためです。 

発光原理が全く異なる蛍光灯(蛍光管)

蛍光管

蛍光灯(蛍光管)

 

  次に、電気で光るといっても、原理が全く異なるものの登場です。 それは蛍光灯(蛍光管)です。 白熱電球は、大きな電流を流して、フィラメントを高温にすることで、光を発生させていたんですが、蛍光灯ではそのメカニズムがまったく異なります。
  イラストのような円形の蛍光管が二重になったペンダント型の照明、昭和~が全盛期でした。 蛍光管にもフィラメントはあるのですが、白熱電球のそれと異なり、高温にして光を発するものではありません。 フィラメントに電圧をかけると、電子が飛び出して、管の中に散らばっている水銀の粒に衝突して紫外線を出します。 その紫外線が管の内側に塗布してある蛍光物質にあたり光を発するというものです。 それなりに熱くはなりますが、意図して熱くする白熱電球とは異なり、消費する電力はかなり少なくて済みます

BN-5701

BN-5701

 

  弊社の「BN」から始まる型番の表示灯は、蛍光管そのものではないですがネオン球を使用しており、蛍光管の親戚にあたります。  また、夜の街のネオンサインも同類項です。 「BN」の表示灯はAC100V-AC250V程度で点灯させますが、夜の街のネオンサインは管が長いため、点灯には数千Vから15,000V程度の電圧が必要になります。

「BN」は、電流的には、小型のもので、約0.46mA、普通サイズのものでは約1.1mAと、わずかな電流で発光しますので、とってもエコです。(あくまでも表示灯であり、明かりではありません。)

  また、蛍光管では、人体に有害な水銀(Hg)が含まれており、廃棄時など環境にも負荷を与えていますが、「BN」においては、ガラス管内に封入されているガスの、99%以上が、窒素(N)と酸素(O)で、残り部分としては、アルゴン(Ar)、二酸化炭素(Co2)、ネオン(Ne)、クリプトン(Kr)、キセノン(Xe)などが使われています。 この5種の物質は普通に空気中に含まれている物質で、普段私たちが呼吸することで、一緒に吸っているものなんです。 一番多いアルゴンが約0.94%、次に多い二酸化炭素が約330ppm、ネオンが約18.2ppm、クリプトンが約1.14ppm、キセノンが約0.087ppmとなっております。 このほかにもヘリウムなどいくつかの物質が入っていますが、微量(ppmレベル)です。
  もちろん、水銀(Hg)は使用しておらず安全性が高いものと言えるでしょう。

LEDの登場

LED

blue LED

 

  ようやく、【今】に近づいてきました。 LEDの登場です。 今と言っても、LED自体は何十年も前からありました。  LED=Light Emitting Diode 発光ダイオードといえば今や知らない人はいないほど有名になりましたが、電流を流すことによって光を発するダイオードのことです。

DB-1-F

DB-1-F

 

   LEDは思ったよりも古くからあり、弊社においてもこれを使った、「DB」で始まる型番の表示灯がそれこそ、ひと昔もふた昔も前から商品化され、現在も多くのお客様にご愛顧いただいております。(どうもありがとうございます)

  これもまた、発光するメカニズムはガラッと異なります。 過去のものと違ってLEDは半導体と呼ばれる、導体と絶縁体の中間に位置するもので、P型とN型の半導体をくっつけて(正式にはP-N接合と言います)、P側からN側に向けて電流を流すととにかく誰がなんと言おうと発光します。(と、難しいので簡単な表現にてごまかします。 興味がおありの方はネットなどで検索すると、いろんな方がやさしく解説してくれていますよ。 でも、何か騙されているような気分になるかも知れません。)

  白熱電球や蛍光管に比べて、消費電力が少なく、長寿命であることが特徴となります。LED自体は何十年も前からあったわりには、今のようにあちこちでLED、LEDと言われるようになるまでには相当な年数がかかっています。 

RYG-LED

3色のLED

 

  ちょっとだけその歴史を辿って見ましょう。
初期のLEDは、発光色として、赤から始まり、黄(橙)、緑も出てきました。 そして、まだまだ発光効率が低く、とても照明に使えるような明るさはありませんでした。 ほんとに最初のころは、「へー、光が出るダイオードがあるんだぁ」ぐらいのもので、ある程度の電流を流しても暗~く光る程度でした。 各メーカーが研究に研究を重ねて、発光効率の改善を行いドンドンと明るくなっていきました。 また、寿命も伸ばしてきましたが、一つ決定的な欠点?がありました。 それは、発光色が赤、黄(橙)、緑ということだったのです。 いくら、明るくなって長寿命にしても、この3色のみでは照明としては限られた場所にしか使えません。

sangennshoku

光の三原色

 

  皆様方お気づきのように、光の三原色は、赤、緑、青ですよね。 そうです、青色がないと白っぽい光は作れないんですよね。 でも、LEDの発光色には青がありませんでした。 実はこの青色LEDも、何十年も前に作られていたのですが、ほぼ、試作品レベルで止まってしまい、量産化まで、年月を要しました。
  そして、量産性、明るさを含む性能、コストなどの条件が整ってきたのが、近年のことということだったのです。 三原色がそろえば、原理的に、どんな色でも作り出すことができる(三原色の各色を256段階の明るさとして1,677万色)ので、照明用やディスプレー用としての価値がぐーんと上がりました。 また、価格もこなれてきたことで、職場や家庭の照明に進出してきましたし、SDGsの流れにも押され、今では電車や自動車のヘッドライト、車内照明、交通信号機など、ありとあらゆるところに採用されています。

  ここで、恒例の脱線を少し。 車両用交通信号機や、横断歩道の歩行者用信号機を、よーく見ると、全面が光っているのではなく、色の粒粒が見えると思います。(全面が光っているものは、LEDではなく電球のものです。) これはLED素子を並べて作られているからです。屋外では、東京-渋谷のスクランブル交差点のところにある大型ビジョンもLEDになっています。 東京ドームや大阪の阪神甲子園や、道頓堀にある有名お菓子メーカーのビジョンもLEDで構成されています。 また、競馬場の電光掲示板のように何十メートルもある大型のものまで登場しています。  これらは、赤、緑、青のLEDを順にそれこそ何十万~百万個以上もびっしりと並べて作られています。

  競馬場の電光掲示板(ターフビジョンという)について、少しだけ。
中央競馬会の東京競馬場にあるターフビジョンは2006年に設置されましたが、当時世界最大のものでした。
家庭用のテレビのサイズで言うと、なんと、2,650型に相当し、テニスコート3面分、40型テレビでいうと約66台分、実際のサイズはといえば、66.4m x 11.2mと、超大型でギネス世界記録に認定されたほどです。
  これは、三菱電機株式会社様が誇る、オーロラビジョン(同社の登録商標)というもので、今から数年前には海外にて、横幅107mといった巨大なものまで実現されています。 

RGB

RGBの配列

 

   このイメージはテレビの画面で確認することも出来ます。今のテレビはほとんどが液晶で、LEDとは異なりますが、光り方、色の出し方としては同様です。 画面の一部を虫眼鏡で拡大してみると、小さな(R,G,B)に光るものが順にびっしりと並んでいるのが確認できます。これによって、ほかの理由もあって無限とまではいきませんが、必要十分な色が再現できているんです。(明るい画面を見るときは、短時間にとどめ、目を傷めないようにご注意ください。)

  少し戻って、交通信号機ですが、LEDにすると消費電力が小さくてエコ、軽い、寿命が長い、指向性が強く、必要な方向に光を出せるので、見る必要のない方向からは見えづらくなるなどのメリットがあります。 また、信号機は万一球切れになると交通事故を誘発しかねないということから、定期的に交換を行っていましたが、LEDは寿命が長いということで交換のスパンを長くすることができ、交換作業の安全確保にもつながり、コストの削減にも貢献しています。 


singou-yuki

雪が積もった信号機

  寒く、降雪量の多い地域においては、信号機の上にも雪が積もります。 ちりも積もればではないですが、雪もその密度によっては結構な重量となります。 白熱電球式のものであればその熱で雪が溶けてくれるといったことがありますが、LEDの場合はそれがあまり期待できません。 ということで、寒冷地ではLED化した際にデメリットもあるということになります。 なお、基本的な信号機は、赤、黄、青(緑)と、横に並んでいますが、雪国の信号機は、縦になっているものもあって、もともと雪対策としてはされていました。

 

 けっこう、圧縮して見てきたつもりではありますが、そこそこ長くなってしまいました。 弊社の表示灯(DB,BN)については、別の機会に個別にとりあげたいと考えていますのでよろしくお願いいたします。


今回は以上です。 最後まで読んでくださり、ありがとうございました。

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