“ターミナル”、“チップジャック”について --- 前編 : ターミナル
ターミナルって?
弊社においては、ターミナルは(T)という型番をとっています。 これもまた端子台のように電気的接続のための器具の一つです。
ターミナルは、もともとは「最終の」「終末の」「終着駅の」などという意味で一般に使われ、バスターミナルとか、(エア)ターミナルビル、ターミナルステーション、輸出入ターミナルなどのように使われています。また、「端末」のような使われ方もあります。あなたが、駅や旅行代理店の店頭窓口で、チケットを購入するとき、係の人が目の前で操作する機械の先にはネットワークがあり、通常は大型のコンピュータ(ホストコンピュータ)が設置されておりますが、それに対して操作する機械、すなわち入出力をする機械を端末といい、ターミナルとも言います。
通常、入力 → システムとのやり取り → 結果の出力 程度の働きで、ホストコンピュータのような難しいことはやりません。お店で例えれば、店頭で○○はありますか?ときいたら、奥にいる在庫管理の人に問い合わせを行ってくれて、今ならありますよーと答えてくれる店員さんみたいなイメージです。ただし、この店員さんのことをターミナルさんと呼ぶことはありません(笑)。また、あなた自身でスマホを操作してチケットを購入したときには、スマホ自体が端末となり、ターミナルということになります。 スピーカーの後ろの電線をつなぐところに付いているものも、いろんな形がありますがターミナルと言います。
さて、前置きが長くなっていますが本命の電気部品のほうに戻りますと、電気機器などから信号や電気を送り出したり、逆に受け入れたりする電線などを接続するためのデバイスとでも言いましょうか、、、、、出入り口です。
端子台と似ている?
このように言ってくると、「あれ、何か端子台と似てないかい?」と思われる方もいらっしゃるのではないでしょうか? そうですね、端子台の置かれている位置・環境と端子台の振る舞い(働き)はターミナルのそれとほぼ同じなんです。実は、使う目的や場所などに適応して形を変えているだけなんです。 そういえば、端子台を英語で言うと、ターミナルブロックでしたよね。
また、別の形では、電線の端末部に装着する、丸型やY型の圧着端子もターミナルと呼ばれています。 (いわゆる、丸端、Y端です。)
形や定格以外のところでは、端子台は1P(P=極)から数十P程度まで多岐にわたっているのに対して、ターミナルは、1Pが大半を占め、2P~4P程度までのものが多いようです。 2Pは、プラス(+)、マイナス(ー)の電源系や、スピーカーの出入力部、4Pは、ステレオとしてのスピーカーで、左右チャンネル各2P、計4Pとして使われているのを見たことがあるかもしれません。なお、1Pが大半と言いましたが、通常、電路は2本一組で構成されることが多く、実際の使用においては2個使いで、結果として2Pとして使われることが極めて多いことを申し添えておきます。そういえばだれもが接したことのある、家電の電源プラグも2P(2極)ですよね。(一部にアース線を加えて3Pとしたものもあります。)
ターミナルの例(各型番にはサフィックスが付きます)
(写真1)--- T-3830
(写真2)--- T-3025
(写真3)--- T-10
弊社のターミナルに分類されているものは、寸法、形状によりさまざまですが、(写真1)(写真2)(写真3)のようなものでほぼ代表されます。多くの場合、筐体【平たく言えば”箱”(注1)】に取り付けられ、その内部と外部のやり取りを受け持ちます。メーカーやものによっては、バインディングポスト、バナナジャック、バナナソケットなどと呼ばれていることもあるようです。
(注1)皆様ご存じの、ウ〇〇ペデ〇アには、次のような説明がされています。筐体(きょうたい)とは、何らかの機能を有する機械や電気機器などを中に収めた箱のことを言う。 フレームを含めた外装を指す。と。
いずれも機器などのパネル(取付面をパネルと呼ぶことにします)に固定し、パネル内側に内部配線を、パネル外側に外部からの入力の線、または外部への出力のための線を接続し、回路を構成するようにして使います。
ここで、(写真1)(写真2)のものは、絶縁物を介してパネルに取り付けますのでパネルとは絶縁されますが、(写真3)のものは、全ての部分が金属で構成されており、パネル(金属)との絶縁が取れませんので、主に筐体のアース(接地)用として使われます。
線のつなぎ方は??
線の接続はパネルの内側になるほうは、はんだ付けとなっていますが、外側すなわち外部への、または外部からの入出力線を接続する側にはいくつかの方法があります。(写真4)にて、視覚的にご紹介いたします。
(写真4)
説明:これは、ターミナルへの接続に関して、こういった種類の方法があるということを”図示”するためのものであり、
これらが全て写真のターミナルに当てはまるということではありません。形状や寸法により適合する場合と、しない場合があります。
まず、一つめはターミナル写真にて、一番上の部分(緑色のレットの入った部分)をツマミと呼びますが、そのツマミ部の頭頂部(正確には、ツマミの内側にある金属の端部)に直径約4mmほどの穴が開いており、いわゆるバナナプラグ(写真5)=別名:バナナチップが挿入できます。(バナナプラグに関しては、あとで、チップジャックの項にて若干の記述をしています。)
(写真5)--- TJ-560
この、バナナプラグは、簡単に抜差しができることから、比較的頻繁に差し替える用途に向いていますが、バナナプラグとターミナルの相性について注意する必要があります。まずバナナプラグ自体がツマミ部にあいている穴径に適合(マッチング)するかどうかと、バナナプラグの収容される穴の深さが必要十分かを考える必要があります。穴径に関しては、適合していないと接触上の問題を引きおこす場合がありますし、もともと挿入できにくいか、できない可能性があり、収容の深さに関しては、浅いと充電金属部分が露出しますので、これが許容できるかを、あらかじめ押さえておかないと後々トラブルの原因となる恐れがあります。
二つめはツマミを反時計方向に回すと上がってきますので、ツマミの下にY型端子、Y型圧着端子、丸型圧着端子を入れたのち、ツマミを締めて接続をします。ただし、ツマミを緩めると最終的にツマミが外れるものと外れないものとがあり、外れないものの場合は丸型圧着端子は、接続できないことになります。
さあ、ここで、またコーヒーブレークといたしましょう!(話が脱線する合図です。) ターミナルのツマミが外れるものと、外れないものがあるということなんですが、なぜ二種類あるのでしょうか?
答えは単純です。上記の丸型圧着端子のように、外さないと接続ができない場合には当然外れるものが必要ですし、外れないものには外れては都合が悪いという用途があるからです。例えば、屋外などで使用する機器の場合、紛失の恐れがあるので、外れないほうが都合が良いということになります。
かなり前の話ですが、ツマミが外れるものを、「陸式」、外れないものを「海式」と呼んでいたことがあります。 さらに昔ですと、実際に陸軍や海軍で使われていたかどうかは定かではありませんが、「陸軍式」、「海軍式」とも呼ばれていたこともあるらしいです。 これにはいろいろな説がありますが、陸上では外れて落ちても拾えば良いけれど、海で外れて落ちたら沈んでしまうので、ウミガメかイルカにでも拾ってもらわない限り元に戻らないということだそうです。だから、「海」式は外れないようになっているんですね。
さて、また話を戻して、三つめとして、中心にある金属の主軸を貫通するΦ2mm強の横穴に、圧着ピン端子、Φ2ピンプラグ、電線を通してツマミを締め付けて接続する方法もあります。電線については、主軸に巻き付けてツマミを締めるというやり方もありますが、撚り線の場合はよく撚らないとバラけてしまい、接続不良を招くことがありますので、注意が必要です。また、バラけを防ぐ目的ではんだ上げをされる方がおられますが、これは締め付け後の時間の経過とともに緩む原因【下記】の一つになります。あまり認知されていないかもしれませんが短時間の接続であればともかく、一般に避けなければならない方法です。はんだ上げは、芯線の先端のみとし、締め付けが行われる部分にはんだが付いていなければとりあえず問題はありません。
はんだ上げしたものは緩みやすい → 接続不良の原因に?
って本当?
ほんとうです。
くわしくは別の機会にゆずることにいたしますが、簡単に言えば、時間の経過とともにはんだが変形していくことで、接触の圧が少しづつ減少し、機械的にも、電気的にも不安定になることがあるためです。
☆★☆★☆ それではこのへんで ☆★☆★☆
“ターミナル”、“チップジャック”について --- 後編: チップジャック でお会いしましょう。