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豆知識

ツマミのお話 あれこれ -1

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ツマミのお話 あれこれ -1

♪♪ 肴は炙った烏賊でいい~♪♪


  いえいえ、そのツマミではありません。 ぬるめの燗でちょっと一杯ということではなく、電気機器に付いている、手で回す、そう、あれのことです。 ツマミ=Knob のことです。

 その構造、部品構成は思いのほかシンプルで、もっとも簡単なものは、部品2点で出来ています。 合成樹脂(モールド)本体または金属で出来たメタル本体締めて止めるためのねじ。 このたった二つの小さな部品から成り立っているんです。 まあ、ツマミ以外には樹脂成型品1点のみの製品もあるので、部品点数としては二番目に少ない製品ということにはなります。

 使用の目的は、円柱状のシャフトを回すことで抵抗値を変化させる、ポテンショメーター(通称:ボリューム、可変抵抗器)や、回路等を切り替える、ロータリースイッチのシャフトなどを手指で回しやすくすることと、取付面に表示された目盛などを指示したり、装飾目的であったりします。

 今は、テレビなどの音量を変えると言えばリモコンでの操作が一般的ですが、一昔前、ラジオやテレビの音の大きさを調整すると言えば、その機器に付いているツマミを直接手で回すのが普通だったためか、一般的に「ボリューム」という名称が可変抵抗器の呼び名としても通称として使われて来ました。 で、ここでは、伝統を重んじて?ポテンショメーターや可変抵抗器のことを、以下「ボリューム」と記させていただくことといたします。  

ツマミはボリュームの相棒

DB-2 縦断面図

ボリューム
(ポテンショメータ)の例

 

  ここでいうポテンショメータ(通称:ボリューム、可変抵抗器)は、左の写真のようなものです。(もともとのポテンショメータは、いわゆるボリュームとは異なる機能と使い方があるのですが、今では、一緒くたに、ポテンショメータと呼んでいるようです。)

  ★★★ ポテンショメータの構造や原理、使用法などをすでにご存知の方は読み飛ばして先にお進みください ★★★

  一般に3個の端子を持ち、仮に端の端子から、①、②、③と名前を付けたとします。 ①と③が抵抗の両端にそれぞれ接続されています。 そして、シャフトを回転させることによって接点が「抵抗の道」の上を移動していくのですが、真ん中の端子②がその接点として、①と③の間を行き来します。

   分かりにくい方は、1m(100cm)の定規をイメージし、端子①が0cmのところ、端子③が100cmのところとお考え下さい。 そして端子②が0cmと100cmの間のどこかにあるとご想像ください。 端子②は、シャフトを回転させることで移動します。 10cm地点であったり30cm地点であったり、、、
  ①-②間が10cmのとき、②-③間は90cm=100cm-10cmということになります。 30cmのときは、70cmとなり、あたりまえですが、その二つを足すとどんな場合も100cmになります。(地球がひっくり返りでもしない限りそうなっています) で、抵抗に戻って①-②間、または②-③間の抵抗も同様に考えれば良いことになります。 ちなみにシャフトを回す方向によって抵抗がどう変わるかが決まります。 端子②と、①または③のどちらを使うかで、たとえば右回転すると、抵抗が増加するのか減少するのかを選択できます。 

  ①-③間に電圧がかかっていれば②の位置により、もとの電圧が抵抗の比によって分圧されて出てきます。 たとえば、①が0Vとして①-③間に5Vかかっていた時は、②の位置が①から30%のところであれば、5Vx30%=1.5V、真ん中にあれば5Vx50%=2.5Vといった具合です。
  可変抵抗といって抵抗が変化するのですが、このように使うと変化した電圧を取り出せることになります。
 
  可変抵抗器が「可変電圧器?」にもなるんですね! ちなみに、①-②端子あるいは、②-➂端子のそれぞれ二端子のみで使うと、もともとの単純な0~MAX抵抗値間で変化する可変抵抗器であり、それはまた「可変電流器?」として使えることになります。
(参考:可変電圧器?、可変電流器? と、「?」を付けているのは、正式な名称ではないけれど、実質的にはそのように使われているということです。)

     そして、このボリュームを指で回しやすくしたり、どのくらい回したかを表示したりして、かつ見た目を良くしてくれるのが、ツマミであり、まさにツマミはボリュームの相棒と言えるのです。 ----- 前置きが長すぎましたね

  (よけいなお話) 時代劇などで出てくる「乗り物」の駕籠(かご)は、二人一組で屋根部に通した一本の棒を担いで移動しますが、二人の体格、体力や息が合わないとうまくいきません。 漫才師の相方ではないですが、駕籠の棒を担ぐペアのお互いを相棒と言っていたのが語源と言われています。


☆ ツマミの構造 ☆  大きく分けると本体は【樹脂】と【金属】の二種類  

K-2605 使用時の断面

K-2605 使用時の断面

 

  左図に示されたものが、弊社製品の中でも最もシンプルなツマミの一つ、K-2605の断面図で、 フェノール樹脂で成型されたモールド本体に、横からねじ(イモねじ)が本体中央部に開いた円筒状の空間に直角に配置されています。 これを、「モールドツマミ」と呼び、同様の構造で樹脂本体(モールド本体)の部分を金属(アルミニウム)としたのが「メタルツマミ」と呼ばれるものです。 使い方は、真ん中に形成された円柱状の空間にボリュームのシャフトを挿入し、横からのねじを締めて固定をします。

 また、樹脂本体の内側に金属製の円筒状部品(インサート金具)を組み込んで、部品3点構成によって強度をアップしたものが、モールドツマミの標準となっています。 インサート金具は、ボリュームのシャフトと、樹脂本体の間に位置して、人知れずひっそりと「縁の下の力持ち」を演じているのです。 なお、インサート金具は、本体の強度を増す目的で使用されるものですから、もともと高い強度を有しているメタルツマミに適用されることはありません。
(その状態および、ボリュームの形や取付のパネル、ツマミの装着状態など後のほうで図を掲載しております。)

各種ツマミに共通のこと (型番によって一部当てはまらないものもあります)


  ● 適合するボリュームのシャフト径と形状 : Φ3.0、  Φ3.2、  Φ6.0 mmで
   形状的にいずれも、円柱状のもの

  ● 適合するボリュームのシャフトの材質 : 黄銅、アルミニウム、鉄、樹脂

  ● 通常のボリュームであればほぼ問題ありませんが、ロータリースイッチ等では、一般に回転トルクの数値が大きい傾向にあり、使用できない場合があります。 これについては、ツマミ自体の強度のほか、シャフトの材質や、ねじの締め付けトルクにもよりますので、実条件での評価が必要になります。 不適合の項目としては、ツマミの中でのシャフトの「滑り」、ねじの締めすぎによるツマミの破損、樹脂製シャフトの場合のシャフトの破損などが考えられます。

  ● ツマミの大きさや形状によって、ボリュームの取付用ナットなどがツマミ内に収容できる場合と、そうでない場合がありますので、確認が必要となります。(機能上ではなく見た目の問題です)

  ● ボリュームのシャフトの長さによっては、シャフトがツマミ内に収容できる場合と、収容しきれない場合がありますので、確認が必要となります。 下図のように、シャフトの先とツマミの本体との間に空間ができるようであれば、花丸OKということになります。(収容しきれないと、取付面からツマミが浮いた状態になります。 これも見た目の問題です。)

  ● シャフトが短すぎると、締め付け用のねじがシャフトに全然あたらなかったり、不十分であったりして、しっかりと固定されませんので、これについても確認が必要となります。(機能上の問題)


ツマミの使用状態の図解

 

  上図はツマミの使用状況を示すイラストです。 ボリュームをナット等で取付板に固定し、そのシャフトにモールド本体、インサート金具、締め付け用ねじから構成されるツマミ(この例の場合、K-4070)を被せて固定した状態です。

  なんの変哲もないごく普通のツマミの使用状態のイラストですが、ここで注目いただきたいことは、水色に色付けされた【取付部材収容スペース】と、パープルの矢印で示された【すきま】です。  イラストでは、取付部材であるナットやスプリングワッシャーが取付部材収容スペース内に収まり、取付板との【すきま】が、ツマミが取付板と擦ったり浮きすぎたりせず程よい感じになっていますが、もしこの【取付部材収容スペース】が、これより浅いか、まったく無いとしたらどうでしょうか?  ナット等がツマミの中に入ることが出来ないので、ツマミは取付板からの浮き、【すきま】が大きくなってしまいます。 ツマミやボリュームの機能には支障はありませんが、デザイン的には???となってしまいますよね。 ですので、ツマミ選びの際には数ある検討項目の中に少しだけこのようなことを入れておいていただけると、よりよい選択が可能になるかと思います。

  とはいえ、取付部材であるナット等に比べて外径が小さめのツマミにおいては、それらを収容するためのスペースが物理的に設けられないため、必然的に「浮く」ことになります。
 
  高級オーディオアンプや測定機器などでは、取付板の上(前)にもう一枚化粧パネルを追加して、ツマミをパネルからギリギリ浮かせたベストのところを狙った取付をしている例や、追加のパネルにツマミより大きな円形の穴をあけて、ツマミのすそ部を埋め込んだようなデザインもありますが、通常はそこまで必要はないかもしれませんし、コストからいっても結構きつくなりますので特別な例と思ったほうが良いかもしれません。 (もちろん、多少浮いたりする程度であれば問題ないということであれば、もともと気にかける必要はありませんね。)
 
 ※ 蛇足になりますが、シャフトの径とツマミの適合シャフト径が合っていること、シャフトの長さによってツマミの天井に閊えない(つかえない)事が、大前提となります。

  また、ボリュームが PC端子のものであって、基板に強固に固定されているときは、固定部材がないことも多くありますので収容スペースは不要となる可能性もあります。

 今回は、ここまでとさせていただきますが、次回は少し掘り下げて、本体の材料の種類やその特徴、指示線や指示点、締め付け用のねじと、締め付けの方式などについて見ていきたいと思います。


※ 続いて次記事『ツマミのお話 あれこれ  -2』をご覧になるにはこちらをクリックください。


2023.8.17改
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